大黒屋食品、まるか食品グループ入り効果で珍味の新規市場拡大狙う
珍味加工卸の大黒屋食品(西区庚午北、片岡真一社長)は、海産珍味メーカーのまるか食品(尾道市)グループ入りを機に、販売促進の相乗効果を高めている。両社の得意分野を生かして新規開拓。伸び悩んでいた珍味の潜在需要を掘り起こし、今後は毎年15%増ペースで売り上げを回復させる計画だ。
両社は50年以上の取引関係があり、相互に商品を扱い、それぞれの販路に乗せる。2021年10月にコンビニのポプラからまるか食品が全株式を取得し、資本業務提携。大黒屋の卸・販売機能、まるか食品の商品企画開発や提案力を融合させる成長戦略を描く。業歴70年以上の大黒屋はポプラ向けが主力。近年はポプラが小規模店や病院内などの閉鎖商圏への店舗展開に軸足を移した影響を受け、夜間などに酒のつまみとして買い求める購買層が激減。減収に歯止めをかけるため、ロングセラー商品「郷の味するめフライ」やあたりめ、ホルモン揚げせんじ肉など、根強いリピーターを持つ定番商品の新たな市場開拓に迫られていた。
まるか食品はスルメフライを中心にスナック類も製造販売する。13年12月に発売した「イカ天瀬戸内れもん味」が大ヒットし、20~30代女性を主力に販売実績は21年までに累計2000万袋に上る。19年から新工場を稼働。数年内に売上高30億円を目指す。つまみのジャンルから、若い女性の支持を開拓したことでスナックやおやつの分野へ広げた。レモンのほか〝瀬戸内〟を切り口とした特産を軸足に、大手メーカーとのコラボ採用も増え、地元コンビニ・スーパーなど向けに扱い拡大を狙うほか、自社ECサイトや海外向けも広げる構え。大黒屋ブランドは珍味分野で定評があるが、今後はスナックや菓子などの購買層に向けても商品価値を訴求していきたいとしている。