ヒロテック ドイツの治具・装置企業M&A

公開:2022年7月6日

広島のM&A

 自動車部品、生産設備製造のヒロテック(佐伯区石内南5-2-1、鵜野徳文社長)はドイツ・バーデンヴュルテンベルク州アイスリンゲンに、自動車関連の治具・装置の設計・製作(ツーリング)拠点を新設した。民事再生中の現地会社をM&A(合併・買収)で事業譲受し、5月2日に新会社「ヒロテック ブッハー」を設立。シュツットガルトから車で40分のアイスリンゲンの敷地2万1500平方㍍、平屋8200平方㍍の工場、事務所棟、CNCマシン、測定器などの工場設備、従業員130人などを継承した。

 ダイムラー、BMW、フォルクスワーゲンなど欧州自動車メーカーやサプライヤー、建設業など非自動車製造業等に生産設備を納入する予定で、年商は4000~6000万ユーロ(約52~78億円)を見込む。欧州でのツーリングビジネスで治具・装置の生産拠点を検討する中、民事再生法で再建中の企業が売却先を探している情報を得て、欧州の自動車メーカーなどに納入実績があることから買収を決めた。

ドイツでは2011年にツーリングの営業拠点として、バーデンヴュルテンベルク州レオンベルグにヒロテックヨーロッパを設立。19年には同社の子会社として、バイエルン州ガイゼルへーリングに車体部品量産の「ヒロテック マニュファクチャリング ドイツ」を設立し、工場も新設した。ヒロテックブッハーはドイツで3拠点目で、治具・装置の設計製作拠点としては日本(ウエノテクニカ=群馬)、米国、メキシコ、インド、中国に次ぐ開設となる。

ドイツの自動車部品量産工場は敷地4万6000平方㍍に平屋1万6000平方㍍の工場を新設し、今年6月からBMW向けのプレス組立部品の量産を開始。従業員60人規模でスタートし、生産量に合わせ増員する見通し。20年に完成した米国・テネシー州フェイエットビル市の新工場は、22年1月にアラバマ州のマツダ・トヨタの工場で生産するCX-50向けの排気系部品、プレス部品の量産を始めた。今後は2直化で従業員140人体制とし、年商9000万㌦を見込む。インド・グジャラート州モデラの新工場は20年3月に、スズキ・モーター・グジャラート向けにマフラーなど排気系部品の量産を開始。新型コロナの影響と半導体不足の影響を受けたが持ち直し、110人体制で、年商6億4000万ルピー(約10億9000万円)を見込んでいる。

広島経済レポート 2022年6 月23日号掲載記事