建築金物卸の秋本産業が同業の事業譲受で山口県進出
建築金物など鉄鋼2次製品の卸販売で1895年創業の秋本産業(中区寺町2-28、金子俊介社長)は6月、同業の長坂建材(江田島市大柿町大原1084-4)から事業譲受した。これと別に同月、周南営業所を新設して山口に進出。両地域の売り上げが通年で計上される2023年11月期に、8年連続最高の40億円を予想する。
長坂建材は夫婦だけで切り盛りしており、後継者不足から廃業を検討。江田島の既存顧客への商品供給を続ける手段を探る中で、仕入れ先の秋本産業に打診した。秋本産業は在庫を引き取って借り事務所をそのまま使い、呉営業所江田島分室とした。スタッフは営業と事務の計2人を配置。まずは従来の月商700万円と同程度を目指す。長坂建材は秋本産業が手薄だったセメントやコンクリート原料の扱いにも強く、ノウハウを取り入れる。
岡山に続き2カ所目の県外拠点となる周南営業所は仮の事務所と倉庫で業務を始め、今後は賃貸と購入の両面で適地を探す。営業と事務の計2人が常駐し、近いうちに4人へ増やす。山口市や宇部市もカバーし、月商1000万円を目指す。岩国市の顧客には本社が対応。
2009年の福山営業所の開設以降、広島都市圏の販売店との関係や商習慣を守りつつ、廃業を検討する金物店の従業員と在庫を引き受ける形で三次と呉、岡山にも営業所を設置。ホームセンターとの競合を避け、大ロットの扱いや小回りの利く配達を強化してきた。ネジを押し込んだりボルトを回す電動工具をはじめ、鉄筋結束用の機械など、本業に付随する商材に手を広げたことも増収に寄与。メンテナンスに力を入れ、固定客を増やしている。09年11月期の売上高13億4500万円からほぼ増収を続け、21年11月期には37億1800万円と2・8倍に伸びた。近年の原材料価格の高騰を受け、純利益は3年連続減の1422万円。事務所と倉庫を借りている福山、呉、岡山の展開が軌道に乗ったことから物件購入を検討している。