田中学習会がファンド通じ株式譲渡
九州一の英進館(福岡)が大半取得

公開:2021年11月18日

広島のM&A

県内の進学塾大手で「田中学習会」を運営するビーシー・イングス(南区松原町10―23、森藤啓社長)は10月15日までに、ファンドが保有する同社の大半の株式を英進館(福岡市、筒井俊英社長)に譲渡した。英進館は九州本社の進学塾で売上高トップ。両社は教育を通じて人間性を育む方針や企業文化に親和性があり、相乗効果を狙う。

ビーシー・イングスは田中弘樹氏が1985年に創業し、2018年11月期決算まで28期連続増収を達成した。20年決算はコロナ禍で前年比7・7%減の売上高34億7105万円だったが、広島、岡山、大阪、香川、愛媛で計93校へと拡大。生徒数は約1万3000人。企業の永続を考えて上場を視野にファンドから投資を受けていたが、コロナ禍などで上場の判断が難しくなり、事業エリアや運営面で相互補完が見込める英進館をパートナーに選んだ。ひろしまイノベーション推進機構が運営するファンドによる最大約12億円の段階的な投資をはじめ、CLSAキャピタルパートナーズがアドバイザーを務めるサンライズ・キャピタルからの出資があり、これらの株式は全てファンドを通じて売却した。最終的な売却額などは非公表。資本金は9000万円から変更なし。経営体制の強化やハンズオン支援を目的にビーシー・イングス取締役を務めていた、イノベ推進機構の熊谷賢一社長らファンドからのメンバーは退任し、森藤社長は続投する。英進館の筒井社長が代表権のある会長を兼務し、計6人の取締役と監査役1人を迎えた。社名や教室名、事業の運営方針などに変更はない。担当者は「心強いパートナーである英進館から多くを学びたい」としている。

英進館の21年3月期売上高は約126億円。九州全域に90校弱、約3万8000人の生徒を抱える。10年には広島の鯉城学院の事業を継承し、100%出資の子会社が英進館鯉城学院を県内に3校展開。

会長職にあった田中氏は顧問就任の打診を受けたが、新体制に影響を与えないために辞退した。「経営に関わることはないが、塾長と呼んで慕ってくれた社員や生徒との思い出を大切にし、10%の株式を保有したまま見守りたい。上場できなかったが、英進館との協業によって良い形での発展を期待している」と話す。同氏は4月から個人出資の会社で研修宿泊施設「ユカリス湯来」(佐伯区湯来町)を運営している。市内でオフィス用のビルを探しており、「世の中のためになるような新事業を模索したい」という。

広島経済レポート 2021年11月04日号掲載記事