ミルテル あすか製薬メディカルと提携 がん唾液検査開始

公開:2023年6月16日

広島のM&A

広島大学発バイオベンチャーのミルテル(南区出汐1-2-10、加藤俊也社長)は5月に東証プライム上場のあすか製薬ホールディングス傘下で検査事業会社のあすか製薬メディカル(神奈川県)と業務提携を結び、唾液によるがんのスクリーニング検査開発を加速する。6月5日から乳がん検査の受付を始めたほか、2024年中にすい臓や大腸、肺、胃がんの検査体制確立を目指す。

あすか製薬HDは産婦人科領域で国内トップ級のシェアがあり、ミルテルは23年当初から同乳がん検査などの技術協力を受けていた。両社の健康寿命延伸と医療費削減への貢献の思惑が一致し、提携を締結。6月5日から乳がんの疑いをA~Cの3段階で判定する簡易検査を始めた。病気があるかどうかを調べるAUC(感度と特異度)は0・9と高精度で、摂氏マイナス30~プラス60℃で1週間経過しても検査が安定する技術などから、従来の血液検査よりも使い勝手が良く安価に提供できるという。まずは既存の提携医療機関1000院を中心に導入を働き掛ける。近くネット上でのキット販売や、被検査者に身近なスーパー、クレジットカード会社、百貨店との連携などで認知を高める。加藤社長は「乳がん検診の受診率は約4割で、欧米に比べて低い。自分自身の健康に責任を持つセルフメディケーションの一環として関心を持ってもらい、行動変容のきっかけにしてもらいたい」

22年12月期決算は新型コロナのPCR検査受託などで伸長し、売上高7億2400万円となり、12年の創業以降初めて黒字化した。がんの唾液スクリーニング検査が本格化する24年以降も黒字を見込む。

広島経済レポート2023年6月15日号掲載記事