東証スタンダード上場で、自販機運営リテール事業や、飲料の企画製造販売を手掛ける。22年11月に創業50周年を迎えた。22年からの中期経営計画で、商品ブランドの立ち上げや大型設備投資、M&Aなどに積極的に取り組む。最終年度の25年3月期には22年の約1・5倍となる売上高300億円、経常利益15億円を目指す。
日頃お世話になっているお客さまや取引先、そして当社創業メンバーや先輩方のおかげで、節目を迎えられたことに感謝申し上げたい。創業者の河本隆雄前会長が亡くなって2年がたった。一緒に迎えられず残念な思いはあるが、コロナ禍対応であっという間に月日が過ぎ、無事に周年を迎えられてほっとしている。会長も生きていたら安心してくれていると思う。
ウクライナ情勢や原油価格高騰などの影響は大きい。原料に加え、工場の燃料や電気、自販機運営に関わる物流などの経費が上がった。大手メーカーを中心に値上げが続いており、当社も自販機では5月から10円ほどの値上げを予定している。心苦しいが今後も資材高騰が続くと予想される中で、ある程度の価格転嫁は必要不可欠。一方で、お客さまに納得してもらうためには、同時に商品の価値を高めなければならない。消費者目線で必要とされる商品開発に注力し、価格ではなくブランド力で勝負していく。
22年から3カ年の中計で、ブランド創造、既存事業再構築、新規事業創出やM&A推進を掲げた。
昨年4月に健康商品の新ブランド「Prie」を立ち上げた。子会社の宝積飲料(東広島市)が05年から製造する食物繊維とコラーゲン入りの健康飲料「ためして寒天ダイエット」などの商品を刷新。新商品の開発に加えて、テレビCMやSNSなどでの宣伝にも取り組む。
自販機運営の小売り事業は、M&A戦略を積極化。21年6月にいいじま(茨城県)の株式を取得し、子会社の北関東ペプシコーラ(現アシード)に一部事業を移管して効率化と販路拡大につなげた。22年8月にはごぼう茶製販などの河村農園(大分県)を子会社化し、健康茶分野の商品開発に注力。M&A戦略は順調で今後も推進するつもりだが、状況に応じて不採算部門は閉鎖するなどシビアな対応も辞さない考えだ。
既存事業の再構築では、昨年12月に宝積飲料に約12億円を投じて炭酸缶充てん設備導入工事を開始。缶・瓶炭酸飲料ラインの生産能力を現在の2倍となる年間400万箱に引き上げる計画だ。同じく子会社のアシードブリュー(福山市)宇都宮工場と東西2拠点生産で、物流の平準化と効率化、CO2削減に寄与する。
新規事業やM&A推進では東南アジアで酒類と清涼飲料市場を開拓。14年7月に投資したハロンビール(ベトナム)は缶ビールの営業を強化し、持分法投資利益は19年3月期から22年3月期までに約2倍の1億2200万円に増えた。今後も各地の文化に合わせたブランディングをしつつ、現地法人とのパートナー契約や買収によって海外事業を強化する。
50周年を機にグループビジョンを「ASEEDING THE FUTURE 人、地球、未来-すべての笑顔と健康のために」に刷新した。お客さまに、創業時から大切にしている〝笑顔〟と〝健康〟を届けるためにも、消費者視点の経営を長期的なビジョンで続けていきたい。
【 プロフィル 】
アシードホールディングス社長 / 河本 大輔 氏
1969年8月21日生まれ、福山市出身。96年にグループのアシード情報システム(2006年アシードブリューに吸収合併)設立と同時に社長として入社。東日本支社、事業本部長などを経て13年から現職。