ホウコクHD 今期はM&Aで駐車場事業の拡大図る
売上過去最高262億円
グループでダム、水門、穀物乾燥機などの設計販売を手掛けるホウコクホールディングス(東広島市西条町、金谷俊宗社長)は、2024年9月のグループ売上高が前期比10%増で過去最高の262億円となった。特に子会社で立体駐車場装置などの豊国ファシリティーズでは23年10月に始めた鉄の商社事業が好調で、前期比150%増の売上高62億円に伸長した。25年に米国で本格稼働を予定する石油関連の商社事業も合わせ、今期の個別売上高は70億円を見込む。同HDは24年10月1日付で自走式立体駐車場メーカーのショウワパーク(大阪)を買収しており、売上高約30億円を上乗せする見込み。
ファシリ社の商社事業は、国内の製鉄メーカーから原料を仕入れ海外に販売。今期は韓国向けが伸びた。24年1月には米国で「HOKOKU USA HD」、「HOKOKU AMERICA LLC」を設立。石油、天然ガスなどの生産開発現場で使う油井管を韓国や台湾のメーカーから米国へ輸入して再加工し、米国内のエネルギーメーカーに販売する。
同HDは後継者不在だったショウワ社を買収し、岡本弘司取締役を社長に任命。今年1月1日付で「豊国ショウワパーク」に社名変更した。グループではファシリ社がマンションなど向け機械式立体駐車場装置の設計製作やメンテナンスを手掛けているが、管理コストの低い自走式の需要も取り込めるようになる。
またショウワ社は全国で13社のみが所属する(社)日本自走式駐車場工業会の正会員で、主要部の構造方法や特定防火設備の安全性が高い「耐火建築物」として国土交通大臣が認定した自走式駐車場を建てられる。非会員と比べ消防法などに関する行政の認可取得が早く、構造も簡略化できるため、安全性を保ちながらも低コストかつ短納期で施工できるという。
同グループは1957年設立の豊国工業が前身。事業の多角化に伴い2009年に持ち株会社「ホウコクホールディングス」を設立し、各事業を会社分割して傘下に収めた。近年は海外進出に注力しており、穀類乾燥設備メーカーの豊国プラントシステムで東南アジア市場進出を図るほか、環境コンサルの豊国エコソリューションズで環境先進技術を持つ欧州企業と提携し脱炭素化支援事業を展開する。