山本屋(尾道)M&A先の立て直し奏功 23年に売上高10億円超へ
公開:2022年5月13日
業務用和菓子製造販売の山本屋(尾道市美ノ郷町本郷字新本郷1-74、山本浩矢社長)はスーパー向け卸事業で培った商品企画力などを生かして、2015年に子会社化したたい焼き製販のはら屋(島根県出雲市、社長同)の事業立て直しを図り、ここ1~2年で同社単体の売上高を買収当初から約4倍の4億円規模に成長させた。22年6月期決算で過去最高のグループ売上高9億5000万円を見込み、23年に10億円超えを目指す。
はら屋は1918年創業の老舗和菓子屋で、2009年頃にブームとなった〝白いたい焼き〟事業への過剰投資などが原因で11年に民事再生法の適用を申請。その後、別会社の傘下で復活を目指していたがうまくいかず、15年に山本屋が事業再生に名乗りを上げた。当初は百貨店などの催事向け出張販売が中心だったが、山本屋が得意とする食品スーパー向け卸事業に軸足を移し、併せて商品構成やオペレーションの見直し、工場の稼働率向上にも着手した。これまでスーパーで購入できる今川焼きは冷凍食品が中心だったが、搬入時は冷凍で店頭に並ぶ際に自然解凍されて顧客が購入後すぐに食べられる商品を約1年前に開発し、広島や大阪のスーパーを中心に販売が大きく伸びた。今後は内部留保を増やしながら、次の投資に備えたいとする。
山本屋は1963年に創業。スーパーのパンコーナーに並ぶ大福やかしわ餅などを中心に和菓子を製造する。約10年前にスタートした輸出は海外での日本食ブームなどを追い風に、前年比130%増の売上高約3300万円を計上した。フランスやドイツ、イギリスなどを中心に特に欧州で人気が高まっており、今後2~3年で輸出売上高を1億円に引き上げる計画。
広島経済レポート 2022年5月12日号掲載記事