佐藤型鋼製作所が事業承継にファンド支援を活用
公開:2021年10月28日
建築用鋼製下地材製造の佐藤型鋼製作所(西区三滝本町2-24-24、資本金2000万円)は将来的な事業承継を見据え、バイアウトファンド運営などのベーシック・キャピタル・マネジメント(東京)から脱オーナー経営に向けた体制整備を中心に支援を受ける。9月にベーシック社が運営するファンドを通じて株式を取得した。
佐藤公章社長(61)は続投する。2人の息子には承継の意思がなく、2年程前から仲介会社を通して、事業会社も譲渡先の候補に挙げながら相手を探していた。ベーシック社が運営するファンドは(独)中小企業基盤整備機構などが出資。独自性や優位性のある技術・サービスを持つ中堅・中小企業が投資対象で、ハンズオン支援による企業価値の向上を目指しており、対等な関係で経営課題の解決に取り組めることが決め手となったという。
同社は間仕切りや天井などの鋼材下地部材を製造し、数十件の特許を持つ。中でも、角部をかしめた(圧着させた)「コーナーかしめ角形鋼」は強度・施工性やコスト面に強みがあり、近年で採用先が拡大。2020年特許取得の接合金具「スマートギヤロック」を使った耐震天井は、21年5月完成のひろぎんホールディングス本社ビルに採用されるなど順調な滑り出し。21年3月期決算はコロナ禍による通販市場の成長を背景に物流施設向けが伸び、前年比25%増の売上高13億6985万円、同3倍の純利益1億6285万円を計上。共に過去最高となった。佐藤社長は「ベーシック社の金田欧奈社長から、技術の独自性を高く評価して投資対象に選定したと聞いた。品質向上に手を抜かず、技術開発に研さんしてきた努力が報われたようでうれしく思う」と話す。
広島経済レポート 2021年10月28日号掲載記事