データで見る!中国・四国地域における後継者問題

公開:2021年3月11日

コラム

M&Aが事業承継においても注目される背景として、日本全国で経営者の高齢化が進んでいる点が挙げられます。企業が継続を図るうえで事業承継が大きな課題であり、その中でも後継者に関する問題は逼迫しています。データから全国と中国・四国地域の後継者に関する状況を比較してみました。

記事のポイント

  • 後継者不在率の高さは、中国地域は全国2位。四国地域は後継者不在率が一番低い。
  • 後継者不在が一番深刻なのは建設業。
  • 中国地域は「子供」が引き継ぐ割合が高い。
  • 全国的にも非同族への承継(M&A)の割合は2~3割であり、後継者不在率の高さから今後更なる拡大が見込まれる。

後継者不在率、中国地域は2番目に高く、四国地域は最も低い

帝国データバンクのデータによると、日本を9ブロックに分けた場合の地域別の後継者不在率(2018年)は以下の通りです。中国地域は北海道に次ぐ、2番目に高い地域であることが分かります。他方、四国地域は全国においても一番後継者不在率が低い地域で、中国地域と四国地域とで17ポイント以上の差があります。瀬戸内海を挟み、大きな環境の違いがあり、中国地域は四国地域と比較しても、より中国地域は後継者問題が逼迫していることが分かります。一方で、3年比較では若干ではありますが中国地域は減少傾向にあり、四国地域は増加傾向にあり、今後の動向を注視する必要があります。 (出典:帝国データバンク「特別企画:全国「後継者不在企業」動向調査(2018 年)」

業種別の後継者不在率、建設業が特に深刻

全国・中国地域・四国地域の業種別の後継者不在率を比較すると以下のとおりです。全国的に建設業が高い傾向にあり、中国・四国地域においても同様に建設業が一番後継者不在率が高くなっています。四国地域では、建設業以外の産業の後継者不在率が低く、建設業の後継者不在の動向が特に強いことが分かります。中国地域については、不動産業・サービス業・小売業の後継者不在率が高い傾向にあります。 (出典:帝国データバンク「特別企画:中国地方 後継者問題に関する企業の実態調査(2019年)」 「特別企画:四国地方 後継者問題に関する企業の実態調査(2019年)」を元に当社作成)

後継者候補、中国地域は「子供」に継がせる傾向が高い

事業の後継者を「配偶者」「子供」「親族」「非同族」とした時の割合は以下のとおりです。中国地域は全国と比較しても「子供」を後継者候補としている割合が51.8%と、全国と比較しても高い傾向です。一方で、上記の通り中国地域は後継者不在率が高いことから、「子供以外の後継者候補を挙げづらい」という背景が後継者不在率を押し上げていることも推測されます。全国的にも配偶者への事業引継の割合は低く、非同族への承継の割合が2~3割となっています。非同族への承継は、M&Aの浸透や事業承継税制の改革が進んでいる影響等もあり、全国的には上昇傾向にあります。全国的な後継者不在率の高さから、中国・四国地域においても、今後M&Aを活用した事業承継の拡大が見込まれます。 (出典:帝国データバンク「特別企画:中国地方 後継者問題に関する企業の実態調査(2019年)」「特別企画:四国地方 後継者問題に関する企業の実態調査(2019年)」を元に当社作成)

おわりに

中国・四国地域の後継者不在率をデータで比較してみると、その違いを把握することができます。事業承継は日本全国において課題となっていますが、そのデータを抑えることで、傾向を把握し、地域の実情に沿ったソリューションが望まれます。