宮田油業が大成石油グループ入り 後継者不足理由にM&A実施

公開:2019年1月31日

広島のM&A

石油製品販売の宮田油業(中区猫屋町1-16)は、1月16日付で宮田典治社長らの所有株式を売却し、同業の大成石油(南区段原日出2-3-20、玉木昌士社長)グループに入った。2018年7月期決算で31期連続黒字(経常利益)を計上するなど、キャッシュフロー経営を重視した健全な財務内容を堅持。一方で、後継者不足を理由に、M&Aの相手先を探していた。大成グループ子会社として当面は、現社員体制で8給油所の運営を続ける。

宮田油業は創業1832年の老舗で、1950年に法人化。出光系でピーク時は直営給油所を市近郊に13カ所展開していたが、石油元売り再編が続く中、2009年に生き残りを懸けた独自の運営を打ち出し、商圏最安値の販売戦略とセミセルフ式のローコスト運営で収益を生み出す仕組みを確立した。生産性を上げるオペレーションで、スタッフは給油作業とタイヤを主にカーケア関連を強化。コーティングや車検にも力を入れる。決算期ごとに成果を上げた優秀社員を対象に年1回の海外研修を20年以上前から続けるなど、モチベーションの向上や福利厚生面を充実。現在はPB(プライベートブランド)で8給油所を直営し、18年7月期売上高は35億円。

大成石油は、日本石油系(現JXTGエネルギー系)で1949年設立。県内と岡山に計12給油所、13販売店を擁す。18年5月期売上高は78億円。黒字を維持し、今期も増収を見込む。トータルカーケアに注力する事業体制を拡充し、ここ数年で燃料油の収益を上回る勢いをみせている。車販や車検、整備、板金、保険など車関連全般を扱い、宮田油業のカーケア関連の販売力とネットワークとの相乗効果が期待できるとしている。少子高齢化、省エネ車の普及、若者の車離れなどで県内給油所数も減少をたどり800ヵ所台に。後継者難で地場経営が減り、元売り系列の子会社が運営するケースが増える中、地場企業同士のM&Aは珍しい。16日付で、玉木社長は宮田油業の社長を兼務。宮田社長は顧問で残る。

「成長発展の軌道に乗せていきたい」としている。

広島経済レポート 2019年1月31日号掲載記事