新型コロナの中小企業への影響は?事業承継・M&Aの今後の動向
新型コロナウィルスの影響が全国に広がる中、政府による緊急事態宣言が一部解除され、経済活動についても復調への期待が高まります。
そのような中、足下の地域中小企業の影響を把握し、M&A・事業承継にどのような影響が及ぶか注視していく必要があります。
79.2%の中小企業が「マイナスの影響」があると回答
(独)中小企業基盤整備機構が2020年4月27日~30日までに全国の中小企業者等へWebでのアンケートによる調査結果が、2020年5月7日に公表されました。
同調査結果では、4月の前年同月比の業績比較において、79.2%がマイナス業績が発生すると回答しており、特に「サービス業(宿泊・飲食)」で大幅なマイナス影響の割合が特に高く、「建設業」や「サービス業(情報通信)」では割合が小さいとのことでした。
また、「自社で求められている支援」の回答において、「事業承継・引継ぎ支援」と回答したのは5.8%で割合としては低く、「休業・事業損失への補償金」がトップで33.3%、「無利子・低利子融資」が二番目で33.0%でした。
(出典:(独)中小企業基盤整備機構 「(2020 年 4 月度)新型コロナウイルス感染症の中小・小規模企業影響調査」)このことから、現時点ではM&A・事業承継よりも、当面の資金繰りが中小企業の課題となっていることが伺えます。
中四国地域の新型コロナウィルス関連倒産の状況
また、帝国データバンクによる新型コロナウィルス感染症による倒産は全国で152件であり、中国・四国地域においては13件です(2020年5月18日時点)。内訳は以下のとおりです。
(中国地域) (四国地域)鳥取県 0件 香川県 3件
島根県 0件 徳島県 1件
岡山県 2件 愛媛県 0件
広島県 4件 高知県 0件
山口県 3件 【合計】 4件
【合計】 9件
(出典:帝国データバンク)
現在は、「ホテル・旅館」等の宿泊業関連への大きな影響が目立ちますが、今後の新型コロナウィルスの影響が他の業種へどのような影響を及ぼすか注視が必要です。
現在のような資金繰り悪化が続いた場合、M&Aでは一般的には「再生型」と呼ばれる事業整理や金融機関と調整を行いながら実行するM&Aの活用が有効です。
経済産業省においても新型コロナウィルス関連対策の令和2年度補正予算において、「経営資源引継ぎ補助金」が計上されています。本補助金は、M&Aの際に負担となる専⾨家を活用する際の経費(仲介⼿数料・デューデリジェンス費⽤、企業概要書作成費⽤等)が補助対象になるというこれまでにない補助金であり、M&A活用の流れを後押ししています。
このような流れを踏まえ、資金繰り対応の糸口が見えた後、このコロナ禍をそれぞれの経営においてどのような機会にするかという視点で、事業戦略上にM&Aを位置付けていくことが求められます。