広島大大学院医系科学研究科未病・予防医学共同研究講座 スウェーデンのバイオ企業と契約 植物乳酸菌テーマに共同研究
スウェーデン発祥のバイオガイアグループの日本法人バイオガイアジャパン(東京)と、杉山政則教授が担当する広島大大学院医系科学研究科未病・予防医学共同研究講座の両者は10月中、共同研究に関する契約を交わす。植物乳酸菌のセルフメディケーションに関する基礎研究と実用化研究を実施する。
バイオテクノロジー企業のバイオガイア社は、ラクトバチルス・ロイテリ菌を主体に各種プロバイオティクス(乳酸菌)を健康食品や飲料、ヘルスケア商品などへ技術転用し、100以上の国・地域で販売展開。日本法人はプロバイオティクスを活用した医療技術の紹介や、国内の医療機関との臨床研究、マーケティングリサーチなども行う。健康長寿社会に寄与する海外ビジネスを展開するという両者のベクトルが一致し、これから具体的な研究テーマの選定に入る。
杉山教授が創設し、代表取締役を担当する広島大学発ベンチャーIPLは、2008年に設立した植物乳酸菌研究所が海外展開に伴い、21年月に社名変更。植物乳酸菌と麹菌の新機能を見いだし、関連特許およびノウハウ技術と乳酸菌の使用許諾によって企業の新分野参入や新商品開発を後押しする。薬用植物や果物、野菜などに由来の1200株を超える植物乳酸菌を管理保管。化粧品、乳酸菌飲料、口腔ケア製品、肝機能やフレイルなどの予防改善に有効な健康サプリメント、ピロリ菌を死滅させる果汁発酵飲料などに商品化され、既にサクラオB&D、野村乳業、あせひら乳業、南陽乳業(韓国)、エルシーコーポレーション(西区)、上海輝文(中国)、シーオーシャン(同)などが市場投入している。
IPLは設立当初のライセンスビジネスから脱し、現在は培養技術などの特許を保有する植物乳酸菌体やその発酵産物を粉末化する素材ビジネスに転換し、販路を広げる。粉末化はサクラオB&Dが受託生産。清涼飲料製造のフジスコ(安芸区)やホームセンターのカインズ(岐阜)、広島駅弁当(東区)などが素材を生かして新しい市場を開拓する。サクラオB&DやMD三井製糖経由で10社強が新商品を開発し、中国の販売代理店を通じて海外展開。国内と海外の比率は半々。スウェーデンのバイオガイア社の協力を得て創薬を観点に生活習慣病や認知症、感染症などの予防改善へ実用化研究を進め、医薬品への構想も描く。