データで見る!中国・四国地域における後継者問題 – M&Aレポート広島
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M&Aが事業承継においても注目される背景として、日本全国で経営者の高齢化が進んでいる点が挙げられます。企業が継続を図るうえで事業承継が大きな課題であり、その中でも後継者に関する問題は逼迫しています。データから全国と中国・四国地域の後継者に関する状況を比較してみました。
記事のポイント
- 後継者不在率の高さは、中国地域は全国2位。四国地域は後継者不在率が一番低い。
- 後継者不在が一番深刻なのは建設業。
- 中国地域は「子供」が引き継ぐ割合が高い。
- 全国的にも非同族への承継(M&A)の割合は2~3割であり、後継者不在率の高さから今後更なる拡大が見込まれる。
後継者不在率、中国地域は2番目に高く、四国地域は最も低い
帝国データバンクのデータによると、日本を9ブロックに分けた場合の地域別の後継者不在率(2018年)は以下の通りです。中国地域は北海道に次ぐ、2番目に高い地域であることが分かります。他方、四国地域は全国においても一番後継者不在率が低い地域で、中国地域と四国地域とで17ポイント以上の差があります。瀬戸内海を挟み、大きな環境の違いがあり、中国地域は四国地域と比較しても、より中国地域は後継者問題が逼迫していることが分かります。一方で、3年比較では若干ではありますが中国地域は減少傾向にあり、四国地域は増加傾向にあり、今後の動向を注視する必要があります。
(出典:帝国データバンク「特別企画:全国「後継者不在企業」動向調査(2018 年)」)
後継者候補、中国地域は「子供」に継がせる傾向が高い
事業の後継者を「配偶者」「子供」「親族」「非同族」とした時の割合は以下のとおりです。中国地域は全国と比較しても「子供」を後継者候補としている割合が51.8%と、全国と比較しても高い傾向です。一方で、上記の通り中国地域は後継者不在率が高いことから、「子供以外の後継者候補を挙げづらい」という背景が後継者不在率を押し上げていることも推測されます。全国的にも配偶者への事業引継の割合は低く、非同族への承継の割合が2~3割となっています。非同族への承継は、M&Aの浸透や事業承継税制の改革が進んでいる影響等もあり、全国的には上昇傾向にあります。全国的な後継者不在率の高さから、中国・四国地域においても、今後M&Aを活用した事業承継の拡大が見込まれます。
(出典:帝国データバンク「特別企画:中国地方 後継者問題に関する企業の実態調査(2019年)」「特別企画:四国地方 後継者問題に関する企業の実態調査(2019年)」を元に当社作成)
おわりに
中国・四国地域の後継者不在率をデータで比較してみると、その違いを把握することができます。事業承継は日本全国において課題となっていますが、そのデータを抑えることで、傾向を把握し、地域の実情に沿ったソリューションが望まれます。