広島信用金庫 M&A支援が累計99件に

公開:2022年6月9日

広島のM&A

広島信用金庫は2003年から始めた事業承継型M&A(合併・買収)の仲介成約が累計で99件になった。M&Aの成約は19年度が6件(12社)、20年度が7件(14社)、21年度は、製缶業のアイテック・サカイ(東広島市黒瀬町)の介護部門をクォリティー・ライフ(同市安芸津町)へ事業譲渡、オーダーカーテン・インテリア雑貨販売のナナフレンチ(東広島市西条中央)から内装工事業・夢木房(同市八本松東)へ、機械工具販売のレイモンド(西区観音本町)から同業の吉岡機工(中区榎町)への株式譲渡など、8件(16社)のM&Aを仲介し、成約数は年々増えている。

アイテック・サカイは本業の製缶業に集中するため、介護事業の譲渡を検討。利用者の利便性の継続を重視して広島信金に相談し、同じエリアで介護用品のレンタル・販売を行うクォリティー・ライフを紹介した。ナナフレンチは1999年設立。経営者が高齢で後継者がなく、同市内の夢木房に株式を譲渡。2021年12月に成約し、商号、店舗、従業員、顧客などを引き継いだ。夢木房の社長夫人の油田慈子氏が社長に就任し、業務の拡大を図る。レイモンドは21年5月、同業の吉岡機工に株式を譲渡し、社長は吉岡伸浩社長が兼務。拠点を残し、仕入先、販売先、商号、従業員を継承した。

広島信金は19年度に経営者が60歳以上の取引先4929社をヒアリング調査し、うち2243先が後継者不在・未定だった。20~21年度に1607先の事業承継に関する支援を行い、1294先が事業承継の方向性を決めた。22年度は残る636先のサポートを行う。

また毎月第1・3金曜日に本店で県事業承継・引継ぎ支援センター、県よろず支援拠点の協力で「事業承継定期相談会」を開き、税理士などの専門家無料相談も行う。ヒアリング案件とは別に、21年度は396件の相談(親族内・従業員承継など113件、M&A283件)があり、自社株評価、専門家紹介など約100件の対応を実施した。職員のスキルアップのため、きんざい主催の「事業承継シニアエキスパート養成スクール」に21年度は19人が参加し、職員の対応力向上にも注力している。

広島経済レポート 2022年5月26日号掲載記事